名 前 |
テントウムシ(天道虫・紅娘・瓢虫 |
学 名 |
Coccinellidae |
英語名 |
Ladybird, ladybug, lady beetle |
分 類 |
昆虫綱甲虫目テントウムシ科 |
分 布 |
日本各地、樺太、朝鮮半島、シベリア、中国、台湾 |
形 態 |
鮮やかな体色の小型甲虫。成虫の体長は数mm~1cm程度。成虫は半球形の体型で、脚や触角は短い。体は黒・赤・橙・黄・褐色など鮮やかな色、体の模様は種類間で変異に富む。日本では赤や黄の地色に黒い水玉模様、あるいは黄に白の水玉模様のものが多く、その多くはそれらの斑点の数で命名されている。 |
生 態 |
幼虫・成虫とも強い物理的刺激を受けると偽死(死んだふり)をし、関節部から体液(黄色の液体)を分泌する。この液体の強い異臭と苦味により外敵を撃退する。体色の鮮やかさは異臭とまずさを警告する警戒色といえる。このため鳥などはテントウムシをあまり捕食しないが、それでもクモやカマキリ、菌類などの天敵が存在する。
食性は種類によって大きく異なり、アブラムシやカイガラムシなどを食べる肉食性、うどんこ病菌などを食べる菌食性、ナス科植物などを食べる草食性の3種類に分けられる。このため農作物にとっては益虫と害虫に大きく分かれることとなり、肉食性の種は、近年、農作物の無農薬化を行う際、農薬代わりに使用される生物農薬の一つとして活用されている。
甲虫なので、卵 - 幼虫 - 蛹(さなぎ) - 成虫という完全変態をおこなう。成虫は交尾のあと、食物の近くに数十個ほど固めて産卵し、孵化した幼虫は翅がなく、腹部が後方へ伸びる。体には突起やとげをもち、成虫とは似つかない体型をしている。甲虫類の中には幼虫と成虫で食性がちがうものもいるが、テントウムシ類は幼虫も成虫も同じ食物をとることが多い。卵や幼虫を対象とした共食いをし、草食種もこの性質を残す。充分に成長した終齢幼虫は植物の葉の裏などで蛹になる。蛹は楕円形で、翅こそ短いものの成虫の形に近い。腹部の先で壁面にくっつき、落下しないようになっている。蛹から羽化したばかりの成虫の翅は黄色だが、翅が固まるにつれ、特徴的な模様が現れる。成虫は春から秋までよく見られる。トホシテントウなどは幼虫で越冬するが、多くのテントウムシは成虫で越冬する。越冬の際は石や倒木などの物かげで、数匹~
数十匹の集団を作る。 |
備 考 |
和名の由来は枝などの先端で行き場がなくなると上に飛び立つ習性から、「お天道様に飛んで行った」と感じ、太陽神の天道からとられ天道虫と呼ばれるようになったとされる。幸福や恋愛のような縁起の良い迷信の多い虫。和名ではナミテントウ一種を指し単にテントウムシと呼ぶこともある。 |